日本では地球温暖化対策として、温室効果ガスの排出量の削減を目標としています。

2030年度までには2013年度比率26%減を掲げています。

 

この目標に向けて注目されているのは、再生可能エネルギーです。

再生可能エネルギーとは、水力・風力・地熱・太陽光・バイオマスなどの自然界に存在するエネルギーを言います。

 

この特徴は「枯渇をしない」「何処にでもある」「CO2の排出を抑制できる」の3点です。

水力発電とは

環境に優しい再生可能エネルギーの中で、水力を利用し発電を行うものを水力発電といいます。

日本では山や川が非常に多く、山から平地にかけての落差は非常に大きいです。

 

その落差を利用し発電用の水車を回す事で電力が作られるのです。

日本の水力発電の歴史

水力発電は明治時代から1960年代の高度成長期に入るまでは日本のメイン発電でした。

初の水力発電は、1888年宮城紡績が設置した自家用発電施設でした。

 

電気事業として水力発電がおこなわれたのは、1891年になります。

明治時代の頃は小規模の水力発電が多く、全国で150近くもの水力発電施設が建設されました。

 

現代でも、90以上の水力発電施設が稼働し続けています。

大規模な水力発電施設、ダムが造られたのは大正から昭和初期にかけてでした。

 

大規模な水力発電施設は、その当時に造られたものが多いです。

その当時の水力発電の多くは、現代技術を取り入れつつ今でも利用し続けられています。

 

水力発電の施設は、落差と水量が必要なため設置場所は限定されています。

大規模な水力発電施設は、既に建設済みである事が多いです。

 

そのため水力発電施設建設は、中規模・小規模を中心になって行われています。

水力発電の仕組み

水が高いところから落下するときの力を利用しています。

  1. ダムにためられた水は取水口から水路を通過します。
  2. 水路から発電機に直結した水車へ水が落下します。このとき発生する【位置エネルギー】により水車を回します。
  3. 水車の回転により生まれた【運動エネルギー】を発電機が【電気エネルギー】に変えます。
  4. 【電気エネルギー】は、変圧器で高い電圧に変えられて送電線を通り消費地に送り出されるのです。

水力発電の種類

流れ込み式(自流式)

自然の川の流れを利用します。

天候や季節により水量が変化するため、発電量の調整が難しいです。

建設費用が他の水力発電方式に比べて安いのが特徴です。

 

調整池式

川の流れをせき止める程度の小さなダムを造ります。

水量を調整することで電力需要の多い時間帯に対応が出来ます。

 

貯水池式

調整池式よりも大きな規模のダムを造ります。

大きなダムに水をためる事で、季節の変化に影響を受けず発電が可能です。

 

揚水式

発電所の上部・下部にダムを造ります。

上下のダムの水を、上げ下げを繰り返すことで発電を行います。

 

日中の電力需要の多い時間には上部から下部へ水を流します。

夜間の電力需要の少ない時間は下部から上部へ水をくみ上げます。

 

水路式

川の上流から水路を利用し、水を発電所まで流すことで発電します。

流れ込み式(自流式)とセットで利用されることが多いです。

 

ダム式

ダムを建設することで人工湖を造ります。

そこで生まれる落差を利用することで発電を行います。

 

水位の変化で発電量が変わるのが特徴です。

貯水式・調整池式とセットで利用されることが多いです。

ダム水路式

水路式とダム式を合わせた発電方法です。

ダムと水路の落差により発電します。

揚水式・貯水池式・調整池式など様々な水力発電とセットにされます。

 

水力発電のメリット

・水力発電の原料は、雨や雪等の自然から得ることができる永続的な水環境です。

発電の多くが輸入資源(石油・天然ガス・石炭)と言う有限なエネルギーですが、水力発電は違います。

水力発電は、半永久的に電力を作り出す事ができるため、輸入などによる価格変動の影響を受けません。

 

・発電を行う際に、地球温暖化の原因と言われる温室効果ガスの排出がない。

 

・発電を原因とする大気汚染などの環境汚染を促す酸化物を排出しない。

 

・山や川が多く、起伏の激しい日本の環境に適している。

 

・揚水式の水力発電は、発電開始までに時間がかからないため発電量の調整に優れている。

 

・様々な水力発電システムが開発されているため、用水路や小川等幅広い場所での発電が可能となっている。

 

・エネルギー変換効率が高い。

上から下に水が流れる際に発生するエネルギーの80%を利用できる。

 

水力発電のデメリット

ダムの長期利用によりダムの底に土砂が溜まり、発電量が減ります。

これらを解決するために「排砂」と言う技術が開発されています。

【対策】

・ダムの水位を下げます。

・排砂用のゲートを開けます。

・河川本来の流れを作り出し、土砂を流下させ下流へ流します。

・再びダムの水位を回復させます。

降水量によって電力量が左右されてしまう

雨が長期間降らないことで、水力発電が利用不可能になる可能性もあります。

日本ではそのような問題が発生することは稀です。

 

しかし、異常気象が続く近年において日本だから関係がないと言う問題ではなくなってきています。

 

自然破壊に繋がります

ダムは山等の自然の高低差を利用し作られるため、奥深い自然の多い場所に作られます。

そのため、広く森林を伐採する必要があるのです。

 

また、水の流れを変える事で、生態系へ悪影響を与えてしまいます。

【対策】

生態系への配慮として、ダムに魚の通り道が作られています。

このように環境へのデメリット・自然破壊を問題とし、水力発電に否定的と言う人も多くいます。

 

そんな中期待されているのが、小水力発電です。

 

小水力発電とは?

環境に配慮した「流れ込み式」「水路式」で行う水力発電です。

そのため、ダムの建設を必要としません。

 

河川の流れを止めることなく、自然のままに利用できる発電方式なのです。

そのため発電に必要なスペースが少ないことが、一番のメリットと言えます。

 

小さいものであれば、横幅が1mほどの水路にも発電設備の設置が可能です。

しかし、太陽光発電利用者は増えても小水力発電の認知度は低いままです。

 

小水力発電の導入には大きな課題があるためと言えるでしょう。

 

小水力発電の利用可能箇所

少ない落差と一定の流量が確保される場所であれば、あらゆる場所で発電を行う事ができます。

砂防ダム・治水ダム

農業用水路

上水道・下水道施設

ビルの循環水・工業用水

小水力発電の問題点

水利権の制約問題

水力発電は、その発電の規模に関わらず河川法の制約を受けます。

河川から枝分かれした農業用用水や、工業用用水も河川法の対象となります。

 

2013年になり河川法が改正され、認可手続きが簡素化されましたがまだまだ敷居が高いと言えるでしょう。

コストと発電量の問題

小水力発電で最も問題と言えるのは、採算性と維持管理費用です。

落差と水量が安定していることで、小水力発電は太陽光発電よりも多くの電力が発電できます。

 

しかし、設備費は太陽光発電と比べても大きいです。

初期投資の大きさの割に、発電能力が低いのが欠点と言えます。

 

維持管理の問題

小水力発電の発電を円滑に行うためには、維持管理を十分に行う必要があります。

これは機械部分の問題ではなく、水路を流れてくるゴミ等が発電施設に弊害をもたらすためです。

 

そのため、毎日の継続的な清掃作業・点検を行う事で初めて発電が行えるのです。

また、継続的な利用のためには数年に一度の部品交換も必要となります。

 

これらの問題が解決されることで、小水力発電は身近な存在へと変化していくはずです。

その他火力発電については”火力発電の仕組み”を参考にしてみてくださいね!