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スペインでは2003年に電力自由化が実施されています。
日本でも2016年4月から一般家庭での電力自由化がスタートしますので、スペインの過去と現在の電力事情をチェックすることによって、これから日本で起こる可能性のあることを予測できるでしょう。

また、スペインでの成功例や失敗例をもとに、日本が学べることも少なくないはずです。

長年にわたって輸入にたよってきたスペインの電力

スペインは他のヨーロッパ諸国とくらべても、化石燃料の資源がとぼしく、電力消費が増加するにつれて、早い段階で自国での生産電力だけではまかなえなくなってしまいました。
そこで、スペインの電力は長年にわたって他国からの輸入に依存し続けることになります。

しかし、石油危機による価格の高騰などから、電力の自給率アップを目指すようになります。前述の通り、スペインには近代における発電の主なエネルギー源となる化石燃料の資源があまりありません。そこで、原子力発電の開発に力を入れることになります。

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そんな矢先に、1979年に起こったアメリカのスリーマイル島事故、そして1986年にウクライナで発生したチェルノブイリ事故によって、原子力発電の新規開発をストップせざるを得なくなってしまいました。

では、スペインはどのように電力生産を行ったのでしょう?
まず、石油や石炭の資源が少ないことから、火力発電の主力をガスにシフトしました。
そして、何よりも大きなポイントとなるのが、再生可能エネルギーの使用です。

再生可能エネルギー先進国のスペイン

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資源が乏しいことから、再生可能エネルギー開発に力を注いだスペインは、風力、水力、太陽光、バイオマスによる大規模な発電施設を各地に建設しています。

2012年時点で、風力による発電量はなんと2,226kWにまで達し、ヨーロッパではドイツに次ぐ第2位の発電量を誇ります。
さらに太陽光発電にも力を入れており、その発電量は450万kWで、こちらもヨーロッパ第3位となっています。

こうして、開発が進められたことによって、2011年の段階でスペインでの生産電力のうち、再生可能エネルギーの占める割合は33%に達しました。これはヨーロッパのみでなく、世界的にみても非常に高いシェアです。

再生可能エネルギー推進が生んだ問題

スペインは再生可能エネルギー開発に早い段階から着手し、シェアなどの数字の面では大成功を収めています。しかし、その一方で問題も起こっています。

スペインでは1990年代から、再生可能エネルギーによる電力の固定価格買取制度を導入しています。これによって、多くの業者が再生可能エネルギーの開発に力を入れるようになりました。

しかし、スペイン政府はこの買取に必要なコストを電気料金に反映することを認めなかったため、電気事業者が大きな赤字を抱えることになってしまいました。そして、最終的には買取価格の値下げが行われ、ついに2012年には再生可能エネルギーの買取を一時的に停止するという事態に至っています。



しかし、こうなると今度は再生可能エネルギーの開発のために行った投資の回収できない企業が出てしまう、という悪循環に陥っています。
これは現在でも解決しておらず、これはスペインの抱える大きな問題の一つとなっています。

スペインの電力自由化は成功だった?

冒頭でもお話しました通り、スペインでは2003年に全面的な電力自由化を実施しています。
そんなスペインの電力自由化の最大の特徴は、自由化後も、規制料金を維持し続けているという点でしょう。

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もちろん、自由市場も存在しており、消費者は好きな電力会社と契約できます。
それと並行して、規制市場も存在しており、消費者として自由市場への参加を望まない場合は、政府によって定められた規制料金で、同市場向けの電力会社から電力の供給を受けることになります。

もちろん、自由市場を利用すれば、電気料金をより安くできるかもしれません。
しかし、その一方で発電コストの上昇などによって、大幅な値上げが発生するリスクもあります。



実際にアメリカやドイツ、イギリスなどでは電力自由化にともなって、電気代が数年で倍以上に跳ね上がってしまったというケースもあります。
それに対して、規制市場を利用すれば、電気料金が大きく変動することはありません。
そのため、スペインでは一般家庭の約78%で規制市場が選ばれています。

つまり、スペインでは電力自由化が実施されてはいますが、一般家庭の場合、自由化によるメリットもデメリットも受けていないケースが大半を占めているのです。

スペインの電力事情から日本が学ぶべきこと

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日本でも2016年4月から全面的な電力自由化がスタートします。スペインとはシステムは異なっていますが、学ぶべきことも少なくありません。

まず、最初に挙げられるのが、電力会社の選び方です。
スペインでは多くの家庭が料金が大きく変動しない規制市場を選んでいます。

日本の電力自由化の場合、規制市場は存在しませんが電力会社によって、料金に変動の仕方は異なっています。

spain_006そのため、契約時はそれまでよりずっと安い料金であったとしても、何らかの理由で値上げが実施され、結果として電気料金が倍増してしまう、といったケースも考えられます。

逆に、料金がそれまでよりも安くならなくても、ずっと安定して同じ料金で使用し続けることができるというケースだって有り得ます。

もちろん、新規参入業者の低料金プランなどは魅力的なものです。
しかし、長い目で見て、その電力会社で、プランで良いのかを考える必要があるのです。