送電線の仕組み

22912
新聞やテレビなどで、「4月1日から電力の自由化が始まります」というニュースが伝えられています。しかし、一般の消費者には、自由化といっても、今ひとつピンときません。

電力の自由化とは一体どんなことなのか、私たち消費者にとって、どんなメリットがあるのか、自由化によって、暮らしがどう変わるのかなど、具体的な疑問に答える形でご説明していきます。

q1g電力はなぜ同じになるの? 私たちは日ごろ、何気なく電気を使っています。この電気は、電力会社の発電所で作られ、送配電線によって、工場や家庭に届けられています。送られてくる電気は、家庭で使っている電気も、工場で使っている電気も、電気の中身(周波数や電圧)はすべて同じです。どの発電所で作られた電気も、電気に色はついていません。

電気はこれまで、地域に1社の電力会社が、発電から送配電まで、一貫した形で担ってきました。これを電力会社による地域独占体制と呼んでいます。関東地方であれば東京電力、関西地方であれば関西電力が、地域の工場や家庭に向けた電気の供給を一手に引き受けてきました。そうした体制は、地域への電力供給を確実に、安定して届けることが目的で、電気の価格である電気料金は、国が査定して認可する、料金認可制がとられてきました。

しかし、そうした電力会社の地域独占体制では、電力会社同士の競争が起きず、したがって料金競争もなく、料金の引き下げが実現しにくい環境が長く続いてきました。一方、欧米諸国では、1990年代から、電気も一般の商品と同じように、電力会社の競争を促し、料金も各社の自由な設定にゆだねる、いわゆる電力の自由化が進められました。

22914

欧米諸国のそうした動きを背景に、日本でも電力自由化の機運が高まり、国(経済産業省)は、2000年から電力の部分自由化に踏み切りました。部分自由化というのは、電力の需要家のうち、最初は、契約電力2000kW以上の大規模工場などの大口需要家から自由化をスタートさせ、段階的に、需要家の範囲を、中規模工場、スーパー、さらには小規模工場、オフィスなどに広げてきたのです。一気に自由化を実施すると、混乱する恐れがあったためです。

自由化によって、電気を自由に買える需要家の範囲が広がると同時に、電気を売る側の電力会社も、従来の地域電力会社だけでなく、新規に電力販売に参入する、いわゆる新電力会社も増えてきました。新電力会社は、契約電力50kW以上の需要家に対して電気の供給を認められたことから、特定規模電気事業者と呼ばれています。

部分自由化はそうした形で進められ、最後に残った需要家の範囲が、契約電力50kW未満の低圧需要家すなわち、一般家庭やコンビニ、商店などの需要家です。

最後に残ったそれらの需要家も、4月1日から、自由化範囲に含まれることになります。それによって、電力のすべての需要家が自由化対象となることから、4月からの自由化は、それまでの部分自由化でなく、電力小売の全面自由化と呼ばれます。

 

q1g企業によって電気に質などはあるの?
22915
電力小売の全面自由化では、新電力会社も一般家庭や商店などへの電力販売を行うため、小売電気事業者に対しては電力の安定供給やトラブル対応などで厳しい審査が必要になります。そのため電気の小売事業者は、国への登録制が実施されています。現在、経済産業省に登録されている小売電気事業者は2月8日現在169社にのぼっています。特定規模電気事業者も一般家庭などに電気を小売販売するためには、小売電気事業者としての登録が必要になります。

全面自由化のもとでは、従来の地域電力会社に加えてこれらの小売電気事業者が、電力販売にしのぎをけずります。小売電気事業者は、家庭や商店などに電気を届けるためには、すべて地域電力会社の送配電線を利用する必要があります。

そのため、消費者がどの小売電気事業者と電気の購入契約を結ぼうと、電気は、これまでと同じように送配電線で届けられるので、電気の質には変わりありません。

 

q1g電力自由化の企業参入の構造はどうなっているの?

電力小売の全面自由化によって、地域1社の独占体制が崩れることは先に述べましたが、地域電力会社の発電から送配電までの一貫体制も大きく変わります。全面自由化による新しい電力会社のイメージは、発電事業者、送配電事業者、小売電気事業者の大きく3つのタイプに分かれます。

地域電力会社も、この3つのタイプに分かれます。

つまり、地域電力会社の発電部門は、発電事業者として、送配電部門は送配電事業者として、小売部門は小売電気事業者としてそれぞれ別会社化されます。新電力会社の場合は、発電部門は発電事業者として、小売部門は小売事業者としてそれぞれ分かれます。送配電部門を持っている新電力会社はありません。送配電部門は、発電事業者が需要家に電気を送り届ける、大変重要な部門であるため、国による許可制として、新規参入は認めていませ。地域電力会社の現在の送配電部門がその役割を担いますが、2018~2020年をめどに、送配電部門は送配電事業者として、地域電力会社から法的に分離されます。

全面自由化のもとでは、私たち消費者は、小売電気事業者と電気の購入契約を結びます。小売電気事業者は、購入契約に基づいて、発電事業者に電気を届けるよう指示し、指示された発電事業者は、送配電事業者の送配電線を利用して、電気を消費者に届けます。

現在、発電、送配電、小売の各電気事業者はすべて、広域的運営推進機関(広域機関)に加入を義務付けられ、消費者からの電力会社の契約切り替えなどは、広域機関のスイッチング(電力会社切り替え)支援システムによって、情報が共有される仕組みになっています。新しく切り替えたい電力会社に契約を申し込むだけで、手続きをすべてやってくれます。

 

q1g暮らしはどのように変わるの?

4月からの全面自由化で、私たちは、電力会社や料金プランを自由に選ぶことができます。料金だけでなく、現在電力会社によって交換が進められているスマートメーター(次世代電力メーター)を利用したさまざまなサービス、例えば、省エネサービス、ポイントサービス、また、将来的には、遠隔地の家族の見守りサービス、防犯対策など、暮らしに役立つ多くのサービスが期待されます。

22916