発送電離分離についてお調べですね。

発送電離分離とは、これまで地域電力会社が独占・管理していた、電気を作る「発電施設」と電気を各家庭や建物に送っていた「送電施設」を、それぞれ独立させる政策のことです。

 

発送電離分離をすると地域電力会社は、自社管理の発電所運営が中心となり、送電会社とは別途契約を交わして発電した電気を各家庭に送電してもらうことになります。

 

この送電会社は地域電力会社から独立しているので、その他の新電力会社も送電会社と契約を交わして電力を送ってもらうことができるようになるのです。

 

ここでは送電網分離について、電力の政策について歴史から現在・未来に至るまでの流れを詳しく解説していきましょう。

 

■段階的に進められている政府の電力改革

政府は東日本大震災後に発生した電力不足や料金上昇を踏まえ、電力改革を3段階に分けて進めています。

その電力自由化の最終段階として、発送電分離が2020年から実施されるのです。

 

当初、発送電分離は2018年から開始とされていました。

しかし、大規模な組織改革が必要となる大手電力会社に配慮し、2020年からの実施となったのです。

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電力システム改革の全体像 出典:経済産業省|電力システム改革について

 

■発送電分離とは?

冒頭でも述べた通り、発送電分離とは発電施設と送電施設を分離させることです。

発電所で電気を作った後、家庭や工場の利用者に届けるためには、発電設備と送配電のための設備が必要です。

 

現状、発電設備と送配電設備は両方とも大手電力会社が所有・管理をしています。

 

発電施設から、送電や配電の設備を切り離すことで、電力事業者が平等に利用することを目的とした改革を発送電分離というのです。

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■発送電の現在「送電線に課せられた規制」

2016年4月の電力自由化では、発電・送電・小売の3区分に事業が分割されました。

 

発電部門は独立系発電事業者(IPP)により、電力会社へ販売することを認めています。

販売部分では、小売りの自由化が進みサービスや価格の向上へと繋がりました。

 

しかし、送電や配電などの電力流通に関する部分は、自由化されていません。

既存の電力会社が独占する状況を認め、経済産業省が規制管理しています。

 

その理由は新規の電力事業者が、独自に電線や電柱を作ってしまった際に起きる問題を避けるためです。

 

◆経済産業省が送電網の独占を認めていた理由

・送電、配電の設備には莫大な投資が必要

・管理コストの肥大化

・美観問題

 

中小規模の電力事業者がそれぞれ電線や電柱を張ってしまうと、停電や断線、その他火災などさまざまなリスクが高くなってしまいます。

 

それを規模の大きな1社が代表して管理することで、供給コストが小さくなるのです。

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出典:経済産業省|電力システム改革について

 

◆発送電と小売の経営的な分離

電力自由化が進むなか、規制事業である発送電は地域電力会社の独占が続いています。

 

地域電力会社以外の発電事業者や小売事業者は、地域電力会社が管理する既存の送電線を利用して電力を供給しています。

 

つまり、新規の発電事業者及び電力小売事業者は、地域電力会社の子会社的立ち位置である送電会社を通してしか、各家庭に電力を提供することができません。

 

そのため管理権限を持つ地域電力会社が、自分たちの経営に有利に働く行動をとるのでは?と懸念されたのです。

 

◆送電会社の中立性が損なう可能性要因

・ライバルとなる新規参入者に不当な扱いをするのではないか?

・送電線の利用を制限するのではないか?

・送電線の利用料金を不当に高く設定するのではないか?

 

こうした不安を防ぐため、各地域の送配電部門を地域電力会社から切り離す政策が進められたのです。

 

大手・新規を問わずそれぞれの電力事業者から見て、送配電を中立的な立場にするために、地域電力会社から送配電部門を切り離して、独立会社とする政策を「発送電分離」と呼びます。

■発送電分離方法

日本に先だって電力自由化を行っている諸外国では、発送電分離も実地しています。

諸外国で選択される発送電分離には4種類があります。

 

・法的分離

送配電部門を法的に独立した別会社として扱う。

 

・所有権分離

既存電力会社から、送配電部門への資本金を排除し送配電部門を別会社化する

 

・会計分離

既存電力会社と、送配電部門に関係する会計処理を分離する

 

・機能分離

送配電部門の所有権は電力会社に残します。

独立した中立機関で運用・整備を実施する。

 

日本では現在「法的分離」が有力です。

日本では一度「会計分離」が導入されましたが、中立性の不透明化が問題となり「法的分離」へと方針変更がされました。

 

法的分離

送配電部門を既存の電力会社から法的に切り離し、分社化します。

送配電部門を中立的な立場として独立させるためです。

 

これにより送配電部門は、発電・販売とは別会社となり誰でも設備を平等に利用できるように働きかける事ができるのです。

 

しかし表向きは平等ですが、送配電会社は大手電力会社の子会社に変わりありません。

そのために必要なルール等が改めて必要となります。

■送電子会社と大手電力会社の関係性

各大手電力会社が親会社を設立し、他部門を子会社化することは可能です。

送配電部門を発電・販売の子会社にして資本金を残すことも認められています。

 

しかし、そのままでは今までとなんら変化がないと言えます。

そのため、親会社と子会社の間に人員的なルールが定められました。

 

・大手電力会社と送配電会社を兼任した職員となることの禁止。

・親会社からの出向等の制限。

 

制限を設けられたものの親会社である大手電力会社が、自由に利用価格を設定すると言う問題はぬぐえないのが現状です。

 

発送電分離によるトラブル問題と対策

大手電力会社は、発送電分離を行うことで配電の平等を保障する。

新規参入企業が不利となる競争を避けるための中立化の義務が最も問題とされています。

 

しかし問題は大手電力会社だけではありません。

新規参入の発電事業者にも問題はあります。

 

送配電を行う会社は、調整機能に関しては高度な技術を持っています。

電力自由化後でも従来と変わらない電力供給が行われ、停電の心配もありません。

 

しかし、新規参入の発電事業者が技術を得るまでには時間がかかります。

万が一にトラブルが起こった際の対応が出来るかが問題となるのです。

■発送電分離によりメリット・デメリット

 

メリット

電気料金が安くなる可能性が考えられます。

今まで送電・配電は大手電力会社の独占状態だったために電気料金の値下げに制限がかかっていました。

しかし送電・配電事業に新規企業が参入することで、送電に対しても価格競争が生まれるのです。

 

価格の競争化が進み、その結果総合的に電気料金の値下げに繋がる可能性が生まれます。

 

また参入企業の中にはクリーンエネルギーやコージェネレーションシステムを利用した発電を行う事業者も出てくるでしょう。

 

事業者の増加は、消費者が選択する電力プランの増加に繋がるのです。

 

送電と配電を分離することで既存の電力会社は維持管理の役割から解放されます。

これによって電力ビジネスが拡大され、全体的に電力ビジネスの底上げが期待できるのです。

デメリット

電気の購入先の選択肢が増えることは消費者にとって嬉しいことです。

しかし販売側にとっては、良いことばかりでありません。

 

何故なら発電業者が増えることで、発電した電力が売れ残る可能性があるからです。

余った分の電力は、無駄になるのです。

 

各社が損失を考え発電を控えることが起きた場合、将来的に電力不足に繋がると言う可能性さえあります。

 

事業分断によって、効率性が悪くなり費用が余分にかかると言うデメリットもあります。

発送電分離により配電と送電の連携が難しくなり、停電の増加につながる可能性あるのです。

 

また、災害時の復旧も速やかにいかない可能性もあります。

災害対策の一面を持つ電力自由化ですが、本末転倒に陥る可能性もあるのです。

まとめ

発電と送電を分ければ、発送電分離が行われたという訳ではありません。

発送電分離には、制度や仕組みを試行錯誤して調整していく必要があるのでしょう。

 

本当に電力及び発送電が自由化されるには、電力市場が機能する制度とルール作りに十分な検討を重ねる必要があります。

 

発送電分離においては、従来から管理していた大手電力会社の業務をまるごと分離させるのですから、多大な労力や時間が必要になります。

地域電力会社と送電会社それぞれの事務所の分離、名簿等の資料も明確に分ける必要性があり、膨大な手続きや調整を行わなければなりません。

 

課せられた課題を解決し、方向性を定め、安心して電気が使えるようになって初めて発送電分離が行われたと言えるでしょう。