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欧州最大のエネルギー消費国がドイツです。もともと、ドイツ石炭が豊富な国でしたが、増加し続ける電力消費をそれだけではまかなうことができなくなり、原子力発電や、他国からの輸入石油によっておぎなってきました。
しかし、採掘できる石炭の量には限りがあります。また、北海油田のエネルギー資源も底をつきつつあります。

そんな中、ドイツはどのようにエネルギーを確保しようとしているのでしょう?

ここではヨーロッパ最大のエネルギー消費国の電力事情についてお話するとともに、日本が見習うべきポイントについても同時に考えてみたいと思います。

ドイツのエネルギーを支え続けてきた原子力

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これまで、ドイツの電力を支えてきたのは石炭火力と原子力による発電でした。2011年までは、この2つのシェアが70%近くを占めていました。

しかし、前述の通り、石炭火力に必要な資源の減少や、地球温暖化対策としての、CO2排出量の削減を求められるようになり、これまでの方法では十分な電力の確保ができなくなってしまいました。

さらに、追い打ちをかけるように発生した日本での福島原子力発電所事故が発生します。これが原因で原子力発電への国民の反発運動が激化しました。
もともと、ドイツでは、チェルノブイリでの事故をきっかけとして、原子力反対運動が行われ続けていました。それが激化することによって、政府は2022年までに国内で稼働していた17基の原子力発電所をすべて停止することを決定しています。

これまでドイツの電力の大半を支えてきた石炭火力による発電量を減らし、原子力発電はやめるとなれば、新たなエネルギー源が必要となります。

では、どのようにドイツは必要な電力を手にしているのでしょう?

再生可能エネルギーのシェア上昇でドイツの未来は明るい?

すでに、原子力発電所の停止が相次いでいることから、現在、ドイツは必要な電力を海外から輸入しています。
元々、ヨーロッパは国をまたいだ電力網を有するため、電力の輸出入がとても盛んなエリアです。
そのため、現在、ドイツは国内で必要な電力の多くを、フランスやチェコからの輸入によってまかなっているのです。

pointしかし、いつまでも他国に頼り続ける、という状況はあまり好ましいことではありません。また、国内の原子力発電所を停止しても、輸入元であるフランスやチェコの電力を支えているのは原子力発電所です。

そこで、現在ドイツが進めているのが再生可能エネルギーの使用です
再生可能エネルギーを使用すれば、石炭や石油などの資源も必要ありませんし、地球温暖化の原因となるCO2も発生しません。また、原子力発電のような高いリスクを背負う必要もありません。
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しかし、残念ながら現時点ではドイツで生産される電力の内、太陽光、風力、バイオマス発電などの再生可能エネルギーの占める割合はわずか15%程度です。これでは、原子力発電でまかなっていた電力量には遠く及びません。

そこで、政府は今後再生可能エネルギーのシェアを2020年までに少なくとも35%まで拡大する計画を立てています。
具体的には、2000年に再生可能エネルギーによる電力を高額で買い取る「固定価格買い取り制度」が導入され、2004年には太陽光によって発電された電力の買取価格の引き上げを実施しています。
その結果として、再生可能エネルギー産業に参入する企業が増加し、開発が進められています。

しかし、発電された電力を高額で購入するための費用は、国民による負担です。そのため、再生可能エネルギーによる発電量が増加するにつれて、電気料金が上がって行く、という状況に陥っているのです。
実際に、この制度が導入された2000年以前と、2013年を比較すると、平均的な家庭の電気料金は2倍以上に跳ね上がっています。

確かに、再生可能エネルギーの占めるシェアが高くなれば、不足するエネルギーを確保できます。

attentionしかし、そのために一般家庭の負担が大きなものになってしまった、という問題が発生しており、ドイツの再生エネルギー政策は成功とも、失敗とも言えない難しい状況に立たされています。

ドイツのエネルギー事情から日本が学ぶべきこと

2000年以降、ドイツで実施されてきた再生可能エネルギー政策は、現在日本が行っているものと似ています。
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日本でも、再生可能エネルギーの固定価格での買い取りが行われており、そのコストは消費者が負担する、という形になっています。その結果として、再生可能エネルギーの開発をすすめる企業は増加しました。

icon04現時点では、大幅な電気料金の値上げといった事態は日本では起こっていません。しかし、2016年4月の電力自由化以降は、新たな市場が誕生し、そこで電気料金は決定されます。そこで、コストのかかる再生可能エネルギーによる電力のシェアが高くなれば、それだけ電気料金が上がってしまう可能性もあります。

電力自由化による競争によって、電気料金は下がる…そう言われていますが、状況によってはドイツのようにわずか数年で料金が倍増…そんな事態が起こらないとは言えません。

もちろん、再生可能エネルギーのシェアが高くなることは限りある資源を守るため、そして地球温暖化を抑えるためには良いことです。
しかし、エネルギーの生産にかかわるコストも、経済的な面から考えるととても重要なポイントです。

エネシフト編集部エネシフト編集部

もちろん、今後は技術開発が進むことによって、再生可能エネルギーによる発電効率も良くなり、コストダウンができるかもしれません。

しかし、それ以上に私たち消費者が電気の購入先や、使い方についてもう少し真剣に考えることも重要となるでしょう。