canada_001

アメリカと同様に、広大な国土を持つカナダは、エネルギーの消費量が多いだけでなく、生産国としても知られています。
さまざまな形で電力生産が行われているカナダの電力事情をチェックし、日本が学ぶべき点についても同時に考えてみましょう。

世界有数のエネルギー生産国・カナダ

カナダには化石燃料をはじめとした資源がとても豊富な国です。
OECDの加盟国の中で、石油、天然ガス、ウランの最大の生産および輸出国の一つとなっています。

canada_002

電力においては、広い国土に恵まれた水力資源を活用した発電が盛んです。
カナダにおける水力発電の占める割合はなんと60%にも及びます。

その他の発電方法としては、ガスや石炭などの国内の化石燃料資源を利用した火力発電や、原子力発電も行われています。

カナダのエネルギー政策には3つの原則がある

前述の通り、カナダは世界有数のエネルギー資源国となっています。
そんなカナダのエネルギー政策を確認してみましょう。

カナダのエネルギー政策には3つの基本原則があります。
それが以下の3点です。

  • 市場主義
  • 州の権限の重視
  • 必要に応じた連邦政府による介入

この3点に基づいてカナダのエネルギー政策を進められています。



この原則から、豊富なエネルギー資源を持つカナダですが、それぞれの所有権は国ではなく州にあります。もちろん、それぞれの規制権限なども州にあることから、連邦レベルでのエネルギー政策などを規定した法規はないのです。

連邦レベルでのエネルギーに関する法規制は、気候変動などの環境政策、そして原子力開発について程度です。

電力においてはCO2削減余地が少ない?再生可能エネルギーの推進には問題あり?

canada_005
前述の通り、現時点でもカナダの総発電量の60%を水力発電が占めています。
さらに原子力発電が15%ですので、すでに全体の約75%がCO2を発生させない方法となっています。
そのため、CO2削減のための余地はほとんどないと言えます。

それでも、カナダでは2020年までにこの割合を90%にまで引き上げるという目標が設定されています。

水力以外の再生可能エネルギーの導入に関しては、国全体での制作は存在しません。これは各州に決定権があることから、連邦で強制することはできないためです。

しかし、各州での自主的な設定が行われており、ブリティッシュ・コロンビア州では、新規発電設備の10%を再生可能エネルギーのものに、ノヴァスコシア州では全体の25%以上の再生可能エネルギー施設の開発を目標として設定しています。

また、2010年の段階で、カナダでは水力をのぞいても410万kWの再生可能エネルギーによる発電施設が設置されています。

canada_006

再生可能エネルギーの促進策も連邦レベルではなく、各州で策定されています。
たとえば、オンタリオ州では2009年から、北米では初となる固定価格買取制度を導入しています。

ただ、同州の制度では、買取条件に、一定割合以上の不可価値がくわえられた発電設備の使用が義務付けられています。そのため、日本やEUがGATT違反に当たる、としてWTOに競技を要請するなど、訴訟問題となっています。

カナダでの電力自由化はどんなもの?

それではカナダの電力自由化はどのようなものなのでしょうか?

カナダの電力会社は、昔から隣接しているアメリカとの間で電力の輸出入を行ってきました。そこで、アメリカから要請を受け、それに応じる形で自由化がスタートしました。

しかし、カナダでは原則として各州がエネルギーなどの資源に関する決定権を持っています。そのため、連邦レベルでの電力自由化が行われたわけではありません。

canada_003

2012年の時点で10ある州のうち、ニューファンドランド州とプリンスエドワード・アイランド州を除く8州で、電力市場の自由化が行われています。

とはいえ、この自由化のほとんどは卸市場に限定されたものであり、小売市場まで完全に自由化されているのは2012年の時点でアルバータ州と、オンタリオ州の2州のみとなっています。

つまり、現在でもカナダでは全面的な電力自由化は行われていません。

カナダの電力事情から日本が学ぶべきこと

canada_004

日本とカナダでは状況があまりにも違っています。

まず、日本にはカナダと違ってほとんど資源がありません。
また、カナダのように各自治体がエネルギー政策に関する決定権を持っているわけでもありません。



もちろん、電力自由化や、再生可能エネルギーの推進に対する考え方も異なっていますので、あまり参考にできる部分はないかもしれません。

そんなカナダの電力事情から日本が学ぶべきことと言えば、やはりエネルギーに対する考え方です。

カナダでは各州がエネルギー政策に関する決定権を持っていますので、消費者側も高い意識を持ってエネルギー問題を考えています。しかし、日本の場合はこれまで消費者レベルで電力について考える機会をほとんど持てませんでした。
その結果、先進国の中でも省エネやエコに関しては後進国となってしまいました。



canada_0082016年6月から、日本でも全面的な電力自由化がスタートします。これをきっかけとして、一人ひとりが電力について、そしてエネルギーについて考えてみてはいかがですか?

言ってしまえば、これからの日本のエネルギー政策が成功するか否かは、私たち一人ひとりにかかっているのです。