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世界最大のエネルギー消費国と言えば、アメリカです。多くの電力を消費する国ですので、それだけで発電量も多くなります。
現在、世界の電力生産量のうち、アメリカだけでなんと19%を占めています。

icon04ここではそんなアメリカの電力事情についてお話しつつ、2016年4月に一般家庭向けの電力自由化を控えた日本の学ぶべきポイントについて考えてみましょう。

消費量が多いものの、資源も豊富なアメリカ

アメリカはエネルギーの消費量が多い国ではありますが、その一方で資源の豊富な国でもあります。
特に北米エリアは化石燃料をはじめとしたエネルギー源がとても豊富です。2013年の時点で、アメリカは石炭の生産量が世界で第2位、石油生産量は第3位、そして天然ガス生産量は世界第1位です。
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それだけでなく、さらに近年では新たなエネルギー源として注目を集めているシェールガスやシェールオイルの採掘もスタートしています。これにともなって、アメリカの資源生産量はさらに増加することが予想されます。

さらに、アメリカには広大な大地がありますので、水力発電も盛んです。アメリカの水力での発電量でも世界第4位です。もちろん、科学技術力が高い国ですので、原子力発電も行われており、その発電量は世界第1位となっています。

pointこのように、アメリカには豊富なエネルギー源があり、電力生産の選択肢が非常に多い国であると言えます。

近年ではクリーンな再生可能エネルギーの導入も

エネルギー資源の豊富なアメリカですが、近年では地球環境に優しい再生可能エネルギーの導入にも積極的です。
2012年度のデータでは、前述の水力を除いた再生可能エネルギーの占めるシェアは5.7%、水力をプラスすると12.8%と、とても高い水準を誇っています。

特に、再生可能エネルギーの使用に積極的なカリフォルニア州などは、2020年までに水力発電を含み、原子力を含まない再生可能エネルギーのシェアの目標を33%と、非常に高い数値に設定しています。

icon04各州での取り組みが進むなか、国でレベルでもさらに再生可能エネルギーの量を増やすための動きが見られます。2013年には、オバマ大統領が自ら、2020年までに、再生可能エネルギーによる発電量を現在の2倍にすることを宣言しています。

アメリカの電力自由化は失敗?その理由は?

このように、エネルギー源が豊富で、なおかつ再生可能エネルギーの利用にも積極的なアメリカですので、電力事情はとても安定しているもの、と思われがちです。
しかし、アメリカで実施された電力自由化は、残念ながら成功したとは言えません。

アメリカでの電力自由化は地域によって、明暗が分かれることになってしまいました。まず、成功した地域の代表がテキサス州です。
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同州の電力自由化は、すべての電力を自由にする、というものではありませんでした。全体の75%の地域の民営電力会社のみを自由化し、国営や州営のものについては、従来のままとする、というものでした。

さらに、民営の電力会社についても、当初はすべて自由化されたわけではなく、実際のところ、自由化されたのは10%程度でした。

icon04一見すると、ほとんど効果のない自由化であったように見えますが、細かく分割して自由化することによって、安定して家庭にも法人にも安定して電力を供給しながら、最終的には新規事業者のシェアが50%を超えており、成功したと言えるでしょう。

しかし、新規電力業者の参入を促すという目標は達成したものの、良いことばかりではありません。消費者の立場から見てみると、自由化によって電気料金が大幅に値上がりする結果になってしまったのです。

新規事業者の多くは、発電や送電設備を新たに建設する必要がありますので、その費用を消費者に請求したため、なんと自由化前よりも80%も値上がりすることになったのです。もちろん、石油価格の上昇などの要因もなかったわけではありません。しかし、ある石油価格が安定した後も、電気料金には反映されていません。

attentionつまり、アメリカの電力自由化の数少ない成功例と言われるテキサス州ですら、消費者の視点から見れば、大失敗だったのです。

photo_300_californiaアメリカの電力自由化でも、特に大きな失敗となったのがカリフォルニア州でしょう。

同州ではテキサス州とは違い、完全自由化を実施し、さらに電力会社にクリーンな再生可能エネルギーなどの買取を義務化しています。
さらに、値上げに関しては認可制で、実質、大幅な値上げも禁止しています。

その結果として、多くの電力会社は赤字に陥ってしまい、結果として州内最大手だったパシフィック・ガス&エレクトリック社は2001年に破たんしています。
その結果として、このカリフォルニア州を中心として、全米での大規模な停電が頻発することになりました。

アメリカの電力事情から日本が学ぶべきこと

まず、日本がアメリカから見習うべき大きなポイントの一つが、再生可能エネルギーをはじめとするクリーンエネルギーの占めるシェアを増やすことです。
日本はアメリカのように豊富な資源を持っている国ではありません。だからこそ、より再生可能エネルギーが重要となります。

すでに日本でも太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーによる発電量を増やすための補助などが実施されています。こういった動きを、さらに前進させるべきなのです。
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逆に、アメリカの例を見て、見直さなければならない点は電力自由化のあり方についてでしょう。
電力自由化によって、電気料金が下がる、サービスが向上する、といったメリットばかりに目を向けてしまいがちです。しかし、実際にはアメリカのように、結果として電気料金が大幅にアップしてしまったり、電力の供給が不安定になるといったリスクも背負っています。

attentionもちろん、日本における今回の電力自由化は、アメリカで実施されたものと同じではありません。しかし、大幅な電気料金値上げの禁止など、大失敗に終わったカリフォルニア州と似たところがあります。つまり、日本全体が第二のカリフォルニア州になってしまう可能性だってあるのです。

 

すでに、電力自由化は決定し、さまざまな企業の新規参入が決定しています。そこで、消費者としてできることと言えば、冷静に状況を判断し、慎重に利用する電力会社や、エネルギーの使い方を選ぶことくらいかもしれません。しかし、それが日本の電力を、そしてエネルギーを安定したものにするために、もっとも必要なことでもあります。

エネシフト編集部エネシフト編集部

目前に迫った電力自由化を前に、メリットだけでなく、デメリットやリスクにも目を向けた上で、あなた自身も日本のエネルギー問題について考えてみましょう。